塾長ブログ

長野県立高校入試についての分析

少し遅くなりましたが、今年の長野県立高校後期試験の問題を分析してみました。
全体として、今言われている『生きる力』を採点しようとしているように感じました。そのために子どもたちがどれだけ世の中(社会)のことに関心を持っているかが、全ての教科の中で問われているように感じます。
<国語>
文字数は9000文字超!早く読み解く力がなければ、全文を読むことはできません。そして出題の傍線近くだけを読んでも、なかなか正答に近づけません。
条件に沿って自分の考えを述べる問題や、スピーチ原稿を書く問題など、自分の言葉で書く問題も重要視される傾向は続いています。
『食品ロス問題』がテーマとなっている問題は関心を持っていて知識のある子には簡単だったと思います。
漢字は読み書きとも易しめでした。古文もイメージがわきやすい文章でした。
「美点」「余儀なくする」「慢心」などちょっとした語彙力の差も点数に差がついたと思います。
<数学>
計算力は全体として易化傾向ですが、式を手順通りに解くというよりも、「この式はどういう意味を表しているのか?」「このグラフや表から読み取れることは?」と言った本質的かつ実践的な理解が求められてきています。
単純な計算問題は4問ほど。以前のように、計算ドリルさえやっておけば20点くらい取れるというわけにはいかなくなってきました。
コロナの影響で出題範囲から三平方の定理がなくなり、円周角の定理も大問では敬遠されたのでしょう。その分、図形の相似を使った問題は難易度が上がりました。特に相似を使って面積を求める問題の正解率は1%未満だと思います。
全体として過去問重視でやってきた生徒は、見慣れない出題パターンで面食らったと思います。
<英語>
リスニングは文法自体は難しくありませんので、落ち着いてキーワードを聞き取れば大丈夫でしょう。
リーディングは単語量がますます増えていて全文を読み切るには準2級程度の実力が必要でしょう。
英文選択肢の問題も増えていて(全部で10問)慣れておく必要があります。単語の穴埋めなどと違い、早く読んで理解する力が問われています。
長文の一つでは、水資源とアフガニスタンで殺害された中村医師についての内容でしたが、知識のある子にはわかりやすいですが、知らない子が内容を読み取るにはかなりの英語力が必要です。
英作文も論理だてて自分の考えを書くため国語力が必要です。
<社会>
問題の難易度は低く、得意な子は高得点が取れたと思います。
地理や公民ではグラフや表など資料から判断する問題がさらに増えている傾向です。グラフや表を比較して必要な情報を読み取り、さらには自分の考えをまとめる力も問われています。
歴史は「茶」をテーマに年代をまたいで現代まで結びつけて考えたり、バラバラの知識では答えが難しくなっています。
<理科>
易しい問題と難しい問題がはっきりと分かれている感じで、あまり点差のつきにくいテストだったと思います。
すべての問題が実験観察にもとづいていて、どういう実感観察なのかをイラストや文章からしっかりと判断することが必要です。
また、学校では扱わない実験などもあって本質的な理解から初めてのことでも推察する力が必要です。様々な現象や結果を説明する力も必要になっています。

先日の「こどもセミナー」ではSDGsの勉強をしましたが、食品ロスや水資源、プラスチックごみの問題はまさにSDGsに関係しています。皆さんはどこまでお子さんとお話しできますか?
また、食料自給率やインターネット投票のことなどもニュースや新聞を見ていれば理解できますし、英語で出題されていた買い物のレシートは、そもそもレシートにどんなことが書かれているかが分からなければチンプンカンプンだったでしょう。バスや電車は平日と休日でダイヤが違うこと、肉料理にパイナップルなどを使うと柔らかくなること、なども身近なことで知って入れば問題が解きやすかったと思います。

是非、日常の様々なことに私たち大人が関心を持ち、お子さんと一緒に話をしてみましょう。お子さんの未来のために!

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