30年度入学者選抜試験の出題傾向
全体として、
『コミュニケーション能力』
『主体性』
『実社会に関心を持ち積極的に探究しようとする姿勢』
といった21世紀型能力を意識しています。
表面的な知識だけでなく、知識を実際にどう使うかが問われています。
定期テストの一夜漬けのような感覚は全く通用しないと言っていいでしょう。
特徴1
教科横断的に考える力があると解きやすい問題の出題
・数学と理科で星の動きに関する問題
・社会と理科で地球温暖化に関する問題
・理科で経度や緯度を使った問題
・社会と国語で少数意見に関する問題
特徴2
教科書の勉強をしなくてもニュースや色々な情報に触れていると解ける問題の出題
・理科:バイオマス利用の問題点
・社会:ポテトチップスから、ジャガイモ=北海道
・・・・ワインから、ぶどう=フランス などをイメージできるか?
・・・・税金を上げるとどのような影響が出るか
・英語:イギリスのラグビー町の話題
特徴3
すべての教科で、自分の言葉で考えを表現する問題が出題
『国語力』と新聞などを使った情報教育の重要性が顕著になっています。
2020年の大学入試改革、新学習指導要領実施に向けた準備が着々と進んでいます。
各教科の出題傾向と全体の出題意図について解説していきます
国語
文字数は昨年に続きピーク時より減少傾向で、約7600字。
中学生の平均読書速度400字/分では、読むのに19分、半分くらいは読み直しをするとして9.5分、
条件作文等の記述に10分かかるとすると、問題を解く時間は10分あまりとなります。
条件作文など記述量が増えてきているため、文字数は減っても読むのにかけられる時間は少なくなっています。
内容の特徴としては、第一に漢字の書きとりが減ったこと。
パソコンやスマホが当たり前になり漢字を書くことの重要性が減ってきている表れと見ます。
第二にここ数年の傾向として現れてきている「コミュニケーション(聞く、話す)」に関する設問が定着してきたこと。
教育改革でうたわれている『コミュニケーション能力』を意識しているものと思われます。
ひとつひとつの設問の難易度は高くなく、基礎力(読解、表現)が定着している子どもには高得点がのぞめます。
大事なのは「速く読み解く力」と「正しい日本語で表現する力」です。
数学
実生活での数学の活用を意識した問題になっています。
まず第一に、ここ数年の傾向の継続で、数学なのに文字数が多い、さらに記述で答える問題が多いということが言えます。
計算に取り掛かる以前に、問題をしっかりと読み取り、内容をイメージする力が求められています。
今年も計算して答えを出すのではなく、解き方を説明するという答えを出さない問題が出題されました。
第二に、単純な計算力より、本質的な数的理解、情報処理能力、空間イメージ力などを測る問題になっています。
『定理とその逆』『確率』は内容は小学生レベルですが、本質的にわかっていないと迷います。
作図も決して難しくはありませんが、星座が題材になっていることで難しく感じた子もいたでしょう。
早く正しい計算力は既に電卓(スマホ)の時代。どう解くかという力が求められています。
数学を表面的に学んでいる子と本質的に学んでいる子で得点差がつきやすい問題です。
社会
これからの『社会を生きていくための力(逆の視点では、社会が求めている力)』を問う問題です。
地理・歴史より公民(現代社会)に重点を置いています。
第一印象は、とにかく紙面が〝黒い〟こと。
文字と図表がびっしりとあり、文章嫌い、図表嫌いの子はこの時点でお手上げです。(図表だけで27点)
そして、複数のグラフから数を処理して判断する問題は『数学力』。
さらに、最後の「問題発見~自分の考え~その理由」という問題は『国語力』。
「社会=暗記科目」は過去の話です。
地理は表やグラフを読む力と世の中のことに関心を持っていれば特別な受験勉強はいりません。
歴史は細かい出来事の起きた年や人名は必要なく、時代の大まかな流れを知り、その時代の背景を知っていれば解けます。
公民も社会の様々な問題に意識を持っていることが何より大事です。
第一印象であきらめずに問題に取り組んだ子は良い点数をとったでしょう。
理科
全般に基本的な知識をもとに総合的な思考を問う問題です。
身近に起こっている様々な現象に関心を持っていることで正解率が変わってきます。
特に3年生の領域からの出題が多く見られたのが大きな特徴です。
苦手意識を持つ子の多い「光」「地震」「質量保存の法則や化合の割合」「オームの法則や発熱量」などが出題されなかったため、取り組みやすく感じた子が多いと思います。
しかし、理由を説明したり、グラフの読み取り、空間的な位置関係の把握が必要な問題が多く、本質的に理解していないと解けません。
社会同様に「理科=暗記科目」ではなくなりました。
表現能力とともに、理科の基本である「なぜ?」意識を持つことが大切です。
英語
今年も長文問題の比率が約7割。特に対話文が多く、今年も日本語で答える問題はありませんでした。
そして、文章量(単語量)が、題材文でも質問文でも選択肢でも多いのが大きな特徴です。
昨年から特徴的になった自由記述の作文も3題出ています。
単語で答える問題は1年生で習うもの程度で、「正しくスペルを書く」というよりも「意味を把握する」ほうに重点が置かれています。
作文は難しい表現を使う必要はなく、シチュエーションをとらえてシンプルに考えることが大切です。
しっかりと主語・動詞があり語順やピリオドなどがついて文になっていれば点数(部分点)はもらえます。
表現してみようとすることが大事で、作文は2年生までの英語力で十分です。
対話文は受け答えの中でどんな話をしているのかイメージすることが大事。
イメージができれば正解がぐっと近づきます。
ホームステイ先での会話や外国人生徒との会話はよくでるシチュエーションです。
長文にあきらめず取り組めば、ふだんの点数は十分取れます。
実際の問題と解答はこちらから見られます。https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyogaku/saiyo-nyuushi/shiken/ko/30gakuryokukensa.html